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「淡路島に香木が漂着し、島の人が薪として焼いたところ、類い希なる良い薫りがしたので、朝廷に献上した」 と日本書紀に記されているように、日本の歴史に始めて香が登場したのは今から約1400年程前になります。平安時代には、貴族の間で香が嗜まれるようになり、香をたいて衣や部屋などにその薫りを付ける習俗が生まれます。 はじめは、各家独特の薫りを楽しんでおりましたが、後には香をたき比べてその技術や香りの優劣を競う遊びまで生まれました。現代に伝わる香道の原点がここにあります。 １９世紀の半ば、香の効果が科学的に立証された後、大変注目されるようになりました。

	お香の原料として使用される天然香料には数十種類あります。 天然のものだけに入手困難なものも少なくありません。 東南アジアを中心に中国やインドなどで産出される貴重なものです。 沈香（じんこう） チンチョウゲ科の樹木の樹脂が変化して出来たもの。 白檀（びゃくだん） ビャクダン科ダンコウの木の芯から出来る。洋名：サンダルウッド 伽羅（きゃら） ベトナムの限られた地域から産出される高級な沈香。 お香作りの工程の中で、最も難しいのが香りの調合です。お香は数十種類の原料を幾通りにも組み合わせながら様々な香りが創り上げられます。 渦巻 ぐるぐると渦を巻いているので、燃焼時間が長く、広いお部屋や空気の流れの多い場所などに適しています。 途中で消したいときは折ったり、書類などをはさむ金属製のクリップなどで消したい部分を挟んでおけば大丈夫です。 スティック、線香 手軽に焚きたい時や、弱めに香らせたい時に。燃えてる面 積が均一なので、香りも均一に広がります。 一番ポピュラーな形のお香。室内線香、仏事線香など、目的によって様々な種類や長さがあります。線状なので‘お線香’とも呼びますが、お線香=仏さま・・・ばかりではありません。 コーン 円錐の先端に火をつけます。下に行くほど燃える面積が広くなるので短時間で強い香りを出すことができます。短時間で香りを・・・という時に便利です。また、そのままの形で灰が残るので散らばる心配がありません。

	日本で一番有名な香木は正倉院に宝物として伝わる「蘭奢待」です。 その薫りは香木としても最高で、現在に至るまでに足利義政・織田信長と明治天皇の３人の方がその一部を切り取ったという記録が残されています。 正倉院 「古都奈良の文化財」の一部としてユネスコの世界遺産（文化遺産）にも登録されている高床の大規模な校倉造（あぜくらづくり）倉庫。 聖武天皇・光明皇后ゆかりの品をはじめとする、天平時代を中心とした多数の美術工芸品を収蔵していた施設です。 「香り」を楽しんだり、心身のリラックスを行うのにポピュラーなのがアロマテラピーですが、日本独自の香りを楽しむ文化が古くからあることをご存知でしょうか。 「華道」「茶道」はご存知の方も多いと思いますが、香りを鑑賞する芸道として「香道」があります。 「香道」の場合は、アロマテラピーとは違い「香り」の成分が脳を刺激して、心身をリラックスさせるのではなく、他の芸道と同じく「作法」をつうじて精神を浄化させるという日本独特の精神文化によるところが大きいとされています。もちろん芳しい香りは、自然と私たちの心を癒してくれます。 香道は、「香り」をただ鑑賞（香道では「香を聞く」といいます）するのではなく、数種の香を焚き、香の種類を聞きあてること。また、香の組み合わせによって、物語や和歌、日本古来の伝統行事などを表現することも大きな特徴です。 源氏物語などの日本の代表的な文学作品の中にも、香をたのしむ情景が頻繁に登場します。日本人が今まで育んできた文化を感じながら、「香」を使って、心にゆとりをもたせてみてはいかがでしょうか？まずは気軽に線香やインセンスなどで楽しんだら、本格的に『香道』を始めてみるのもいいかもしれません。